Skip to content
微笑みを彩るセラミック: 歯科の最新トレンド
微笑みを彩るセラミック: 歯科の最新トレンド

「E-max」と「ジルコニア」結局どっちがいいの?あなたの希望を叶えるセラミック素材の選び方

三浦さやか, 2026年2月20日2026年2月27日

最終更新日 2026年2月27日 by 三浦さやか

「セラミック治療をしたいんだけど、E-maxとジルコニアのどっちにすればいいかわからなくて……」

こういう悩み、すごくよく聞きます。私自身も数年前、メルボルンの歯科クリニックで前歯のセラミック治療を受けたとき、まったく同じ壁にぶつかりました。担当ドクターから「E-maxにする?ジルコニアにする?」と聞かれ、正直ちんぷんかんぷん。結果的に選んだのはE-maxでしたが、あのとき両者の違いをきちんと理解していれば、もっと自信を持って選択できたのに、と今でも思います。

はじめまして!医療ライター・元歯科衛生士の三浦さやかです。歯科衛生士として6年、医療記事ライターとして5年、現在はオーストラリア・メルボルンを拠点に、海外の最新歯科トレンドを日本語で発信しています。今回は、セラミック治療を検討中の方が必ず直面する「E-max vs ジルコニア問題」を、海外臨床データも交えながらとことん解説します。この記事を読み終わる頃には、「自分にはこっちだ!」と自信を持って言えるようになっているはずです。

目次

  • 1 まず知っておきたい!E-maxとジルコニア、何者なの?
    • 1.1 E-max(イーマックス)とは?
    • 1.2 ジルコニアとは?
  • 2 5つの項目で徹底比較!あなたの希望を叶えるのはどっち?
    • 2.1 ①審美性:透明感と自然な仕上がり
    • 2.2 ②強度・耐久性:どれだけ長く持つか?
    • 2.3 ③歯を削る量(歯質の保存)
    • 2.4 ④接着性:治療の安定性に関わる重要ポイント
    • 2.5 ⑤日本での費用相場
  • 3 こんな方にはE-maxがベストチョイス
  • 4 こんな方にはジルコニアがベストチョイス
  • 5 2025年の注目トレンド「高透光性ジルコニア」が常識を変える
  • 6 まとめ

まず知っておきたい!E-maxとジルコニア、何者なの?

E-max(イーマックス)とは?

E-maxの正式名称は「IPS e.max(アイピーエス イーマックス)」。スイスの歯科材料メーカー、Ivoclar Vivadent(イボクラールビバデント)社が開発・製造している、ニケイ酸リチウムガラスセラミック(LS₂)を主成分とした補綴材料です。

ガラスセラミックという素材の性質上、光の透過性が非常に高く、天然歯のもつ独特の「透け感」を再現できるのが最大の特徴。世界で1億7,000万本以上の臨床実績を持つ、まさにグローバルスタンダードの素材です。

強度は、CADタイプで曲げ強度530MPa、プレスタイプで470MPa。従来の陶材(ポーセレン)が100〜150MPaほどだったことを考えると、3〜4倍の強さを持つ革新的な素材と言えます。

ジルコニアとは?

ジルコニアは酸化ジルコニウム(ZrO₂)を主成分とするセラミックで、「人工ダイヤモンド」「白い金属」とも呼ばれるほど強度に優れた素材です。その強さはモノリシック(一枚岩)タイプで1,000〜1,200MPaに達し、E-maxの約2倍の曲げ強度を誇ります。

現在のジルコニアは、イットリウムの配合量の違いによって以下のように分類されます。

グレード強度透光性主な用途
3Y-TZP最高(~1,200MPa)低い奥歯・ブリッジフレーム
4Y-TZP高い(~1,000MPa)中程度前歯・奥歯両用
5Y-TZP中程度(~700MPa)高い前歯・審美領域

かつては「ジルコニア=白くて不透明で奥歯専用」というイメージが強かったのですが、近年の技術革新で前歯にも使えるハイトランスルーセント(高透光性)ジルコニアが急速に普及しています。この後で詳しく紹介しますね!

5つの項目で徹底比較!あなたの希望を叶えるのはどっち?

①審美性:透明感と自然な仕上がり

セラミック治療で一番気になるのは、やっぱり「どれだけ自然に見えるか」ですよね?

E-maxはガラス系セラミックのため光の透過性が非常に高く、天然歯のエナメル質に近い透明感を再現できます。光が素材の内部に入り込んで散乱する「内部散乱効果」が天然歯に似ているため、隣在歯との馴染みが抜群です。特に上の前歯6本など、正面から目立つ部位に使った場合に「どれが被せ物かわからない」と喜ばれることが多い素材です。シェードもHT(高透明)・MT(中透明)・LT(低透明)・MO(中不透明)の4段階から選べ、歯台(土台の歯)の色が出やすい場合など、症例に合わせた細かな調整ができます。

一方のジルコニア(従来品)は光の透過性がやや低く、不透明感が出やすい傾向があります。ただし、後述するマルチレイヤード技術の進化により、この差は急速に縮まっています。また、従来のジルコニアは「歯台の色が透けない」という特性が逆に活きることもあり、金属ポスト(土台)を使っている歯や、変色した歯台への補綴では、E-maxよりもジルコニアのほうが自然な仕上がりになるケースがあります。

審美性の軍配:E-maxに優位(ただし最新ジルコニアは激しく追い上げ中)

②強度・耐久性:どれだけ長く持つか?

強さで比べれば、ジルコニアが圧倒的。奥歯にかかる咬合力は最大700〜800Nとも言われており、E-maxよりも2倍近い強度を持つジルコニアは、その力に余裕で耐えます。歯ぎしり(ブラキシズム)がある方、食いしばりの習慣がある方にはジルコニアが強く推奨されます。

では、E-maxの耐久性はどうでしょう?タフツ大学歯学部などの研究者らが2025年に発表した14年間の長期追跡研究では、ニケイ酸リチウム(E-max Press)補綴物の年間失敗率はわずか0.1%、全体の生存率は98.6%という非常に高い数値が報告されています。前歯のクラウンに限っては14年間で失敗ゼロという結果も出ており、適切に使えばE-maxの耐久性も十分高いことがわかります。詳しくはJournal of Prosthetic Dentistry掲載の論文でデータを確認いただけます。

  • 歯ぎしり・食いしばりがある → ジルコニア一択
  • 前歯の単冠で審美重視 → E-maxでも10年以上の実績あり
  • ブリッジや複数歯の補綴 → ジルコニアが安心

③歯を削る量(歯質の保存)

E-maxはガラスセラミックのため、フッ化水素酸でエッチング(歯面処理)して歯質と強固に接着できます。接着力が高い分、薄い状態でも強度を保てるため、歯の削り量を最小限に抑えた「ミニマルインターベンション(MI治療)」が可能です。

ジルコニアはその構造上、化学的なエッチングができず、主にサンドブラスト処理による機械的な接着に頼ることになります。特にベニア(ラミネートベニア)のような薄い補綴物には不向きで、必要な厚みを確保するためにやや多めの削除が必要になるケースがあります。

歯の温存を重視するなら:E-maxに分がある

④接着性:治療の安定性に関わる重要ポイント

E-maxの大きな強みのひとつが「接着性の高さ」です。ガラスセラミックはフッ化水素酸でエッチング(表面処理)することで、接着面に微細な凹凸が生まれ、シランカップリング剤とレジン系セメントを用いることで歯質と化学的・機械的に強固に結合します。この優れた接着性のおかげで、被せ物の辺縁から細菌が侵入しにくく、二次的な虫歯(二次カリエス)のリスクを低減できます。インレー(詰め物)やラミネートベニアなど、薄く小さい補綴物では特にこの接着強度が寿命を左右します。

ジルコニアは金属酸化物であるため、フッ化水素酸でのエッチングができません。主にアルミナサンドブラスト処理による機械的なレテンション(形状による維持力)に頼ることになります。接着強度はE-maxに比べてやや劣る傾向がありますが、通常のクラウンやブリッジ程度の補綴物であれば適切な形成さえできていれば十分な固定力が得られます。ただし薄いベニアや、歯質の残存量が少ないケースでは慎重な判断が必要です。

⑤日本での費用相場

どちらも保険適用外(自費診療)の治療になります。全国的な相場を比較すると以下のようになります。

素材クラウン1本あたりの相場特記事項
E-maxクラウン8万〜15万円程度インレーは5〜10万円程度
ジルコニアクラウン5万〜20万円程度種類・医院によって幅大きい

フルジルコニア(モノリシック)は比較的リーズナブルな傾向がありますが、高審美性の前歯向けマルチレイヤードジルコニアになると費用が上がります。医療費控除の対象になる場合が多いので、領収書の保管もお忘れなく。

費用や素材について「まず相談してみたい」という方は、信頼できる歯科医院でのカウンセリングがファーストステップです。大阪・福島区エリアで審美歯科を検討されている方は、削らない・抜かない治療方針で知られ、土日祝・夜間も対応している野田阪神歯科クリニック(大阪市福島区)が相談しやすい選択肢のひとつです。

こんな方にはE-maxがベストチョイス

自分に当てはまるか、チェックしてみてください。

  • 前歯(特に上の前歯6本)の補綴を希望している
  • 審美性・透明感を最優先したい
  • 歯ぎしりや食いしばりのクセがない
  • ラミネートベニアを検討している
  • 歯の削り量を最小限にしたい(MI治療希望)
  • 詰め物(インレー・アンレー)の治療を受ける
  • 天然歯と見分けがつかない仕上がりを求めている

こんな方にはジルコニアがベストチョイス

  • 奥歯(大臼歯・小臼歯)の補綴が必要
  • 歯ぎしりや食いしばりがある(ブラキシズム)
  • ブリッジや複数の連結補綴を希望している
  • インプラントの上部構造を検討している
  • 金属アレルギーがあり、なおかつ強度が必要な部位に入れたい
  • フルマウスリコンストラクション(全顎的な補綴治療)を予定している
  • コスト重視で耐久性の高い素材を求めている

2025年の注目トレンド「高透光性ジルコニア」が常識を変える

ここ数年、歯科業界で急速に注目を集めているのが「High Translucency(高透光性)ジルコニア」、英語圏のラボでは”Translucent Aesthetic Zirconia”とも呼ばれる最新素材です。

従来のジルコニア(3Y-TZP)の課題だった「白くて不透明」という弱点を克服するため、イットリウムの含有量を増やした5Y-TZPや、前歯側から歯頸部に向けて透光性と色調が自然に変化する「マルチレイヤード(多層構造)ジルコニア」が急速に普及しています。

日本でも取り扱いが増えている代表的な素材が、クラレノリタケデンタルの「KATANA Zirconia UTML(Ultra Translucent Multi-Layered)」です。切端部は5Y-PSZで高い透光性を確保しながら、歯頸部に向けて色調とクロマが自然にグラデーションし、まるで天然歯そのものような仕上がりを実現します。

世界市場を見ると、2024年には前歯補綴に使われるジルコニアクラウンが全世界で1,800万本に達すると試算されており、従来ならE-maxが選ばれていた前歯症例の一部がハイトランスルーセントジルコニアにシフトしていることが確認されています。強度(約900MPa)を保ちながら前歯の審美領域でも使えるこの素材は、今後さらにE-maxの牙城に迫ることが予想されます。

ただし注意点もあります。5Y-TZPは透光性を高めるためにイットリウム含有量を増やした結果、3Y-TZPに比べて強度がやや低下します。奥歯や歯ぎしりのある患者さんには、高透光性タイプよりも従来の高強度タイプを選択するべきケースが多くあります。「前歯だから柔らかい素材でいい」というわけではなく、あくまで咬合分析や歯ぎしりの有無を総合的に判断した上での選択が大切です。

まとめ

「E-maxとジルコニア、どっちがいい?」という問いへの正直な答えは、「症例によって違う」です。でもそれでは選べないですよね。最後に、判断の軸をシンプルにまとめておきます。

  • 前歯・審美重視・歯ぎしりなし → E-maxが第一選択
  • 奥歯・ブリッジ・歯ぎしりあり → ジルコニアが第一選択
  • 前歯で審美性と強度の両立を求める → 最新のハイトランスルーセントジルコニアも選択肢
  • インレー・ラミネートベニア → E-maxが適している
  • インプラント上部構造・フルマウス → ジルコニアが信頼性高い

どちらの素材も、適切な症例に適切な形で使われれば、10年・15年以上の長期的な臨床成績が世界中で証明されています。大切なのは「この素材が好きだから」ではなく、「自分の口腔状態とライフスタイルに合った素材はどちらか」を歯科医師と一緒に見極めることです。

海外でセラミック治療を経験した私が感じるのは、日本の患者さんはまだ「E-maxかジルコニアか」という二択で止まりがちだということ。実際は透光性グレードの選択(HTかLTか)、モノリシックかレイヤードか、CAD/CAMかプレス加工かといったさらに細かな判断が仕上がりの天地を分けます。歯科医院選びの際は、「この歯にはどのジルコニアの何グレードを使いますか?」と聞いてみるのも、医院の実力を見極める一つのポイントになりますよ。

納得のいくセラミック治療のために、今日の情報がお役に立てれば嬉しいです。次回は「前歯ラミネートベニア、海外と日本の技術格差」について取り上げる予定です。どんな海外トピックが気になるか、ぜひコメント欄で教えてくださいね!

関連記事:

なぜジルコニアが人気?歯科治療で選ばれる理由とその効果
ジルコニア

投稿ナビゲーション

Previous post
Next post

アーカイブ

カテゴリー

  • インプラント
  • コラム
  • ジルコニア
  • その他
  • ホワイトニング
  • 審美歯科
  • 材料
  • 歯のケア
  • 矯正
  • 費用

最近の投稿

  • 「セラミックは割れる」は誤解?10年後も美しさを保つためのメンテナンス術
  • 「E-max」と「ジルコニア」結局どっちがいいの?あなたの希望を叶えるセラミック素材の選び方
  • フロスだけじゃ不十分?ウォーターピックを併用すべき3つの理由と正しい使い方
  • その歯ぎしり、放置は危険!睡眠の質も改善する、最新マウスピース治療のすべて
  • 「治療より予防」が当たり前!海外の歯科衛生士が実践する、一生モノの歯を守るためのセルフケア術
  • 電動歯ブラシ、実は損してる?効果を最大化する正しいモデル選びと使い方
  • なぜ海外のビジネスエリートは歯に投資するのか?成功者が実践するオーラルケア戦略
  • 歯科衛生士から医療ライターへ。私が「一次情報」にこだわり続ける理由
  • 高額請求に驚愕!私の海外セラミック治療・失敗談から学んだこと
  • 【私が実験台】元歯科衛生士ライターが自腹で試した、最新オーラルケアグッズ徹底レビュー
©2026 微笑みを彩るセラミック: 歯科の最新トレンド | WordPress Theme by SuperbThemes